- タップハンドルとは
- タップハンドルの種類
- -T字型タイプ
- -T字型ラチェットタイプ
- タップハンドルとダイスハンドルの違い
- タップハンドルの使い方
- -被削材を水平に固定する
- -段階的にタップを使う
- -切削油を給油する
- -進んで戻しての繰り返しが基本
- -タップは垂直に立てる
- 工作機を使ってねじ加工を行う場合
- タップ加工には道具の選定が重要
タップハンドルとは? 種類や使い方など詳しくご紹介

タップ加工を行うとき、タップだけでは人の手で回すことはできません。そこで必要になるのが、タップの持ち手となる「タップハンドル」です。 この記事では、タップハンドルの種類や使い方、注意点などをご紹介します。
タップハンドルとは
めねじを作るためのタップ加工を手作業で行う場合、タップを回転させるためにある程度の力が必要で、タップ単体では作業を行えません。そのため、タップハンドルという治具も必要です。 一般的によく目にするタップハンドルは「一文字タイプ」と呼ばれるもので、中央にタップを保持して両手で持つ構造になっています。両手で回せるため安定した作業が可能で、ハンドルも長いため小さな力で回すことができます。 タップ加工ではよく用いられるため、「タップハンドルといえば一文字タイプ」と認識されている場合も少なくありません。
タップハンドルの種類
タップハンドルには、一文字タイプの他にもいくつかの種類があります。ここでは、一文字タイプ以外のタップハンドルについてご紹介します。
・T字型タイプ
T型形状のハンドルで、スリットの入ったホルダを締め込むことでタップのシャンクを保持する構造になっています。 バーが比較的短く片手で使用できるサイズで、一文字タイプでは難しい狭い部分や深い部分でもねじ穴を作りやすい点がメリットです。 しかし、大きなトルクを与えることはできないため、切削抵抗の大きい被削材や大径のタップには適していません。
・T字型ラチェットタイプ
T字型タイプに、ラチェット機能を持たせたものが「T字型ラチェットタイプ」です。ラチェット式にすることにより作業性が高くなるため、短時間で効率的にタップ加工を行えます。 また、右回転・中立固定・左回転を切り替えられるようになっていて、進み・戻り方向の回転が連続で行える点も特徴です。連続で掘り進むことのできる加工性に優れた被削材や、小径のタップ加工に適しています。
タップハンドルとダイスハンドルの違い
めねじを成形するタップに対して、「おねじ(雄ねじ)」を成形する「ダイス」という工具があります。タップハンドルと同様に、ダイスを保持して回転させるためのものが「ダイスハンドル」です。 ダイスハンドルも一文字タイプが数多く流通していますが、ソケットタイプやドリルビットタイプなど、いくつか種類があります。
タップハンドルの使い方
タップハンドルを使って手動でねじ切りを行う際には、いくつか注意したいポイントがあります。ここでは、タップハンドルを使う際の注意点についてご紹介します。

・被削材を水平に固定する
タップハンドルを使用してタップ加工を行う際は、バイスやクランプなどを使用し、被削材が水平になるよう固定しましょう。 被削材が水平でないと、タップが下穴に対してまっすぐ入らず、加工精度が低下する可能性があります。また、被削材が外れたり動いたりすると、タップが折れてしまうこともあります。
・段階的にタップを使う
ハンドタップは、段階的に使うことで精度が高く仕上がりの良い加工が可能です。先タップ・中タップ、上タップの順でタップ加工を行いましょう。
・切削油を給油する
切削加工のタップ加工では、切削油が重要です。必ず切削油を給油して、潤滑性を高めながら掘り進めましょう。切削油を使わずに加工を行うと、切りくずで目詰まりを起こしやすくなり、タップの寿命も縮みます。
・進んで戻しての繰り返しが基本
タップハンドルとハンドタップを使って加工を行う際、力のかけ方の偏りやタップの溝形状の影響によって、ねじ山に多少の段差が生まれます。 これを均等にならすため、「半周掘り進んだら半周戻す」を繰り返しながら掘り進んでいくことがタップ加工の基本です。また、このとき必要以上に力を入れずに作業を進めていくことも大切です。
・タップは垂直に立てる
タップが斜めになっていると、ねじ穴が斜めにできてしまうだけでなく、タップの破損や折れ込みを起こす可能性もあります。タップが必ず垂直に立てられていることを確認し、作業を行いましょう。 タップが垂直かどうかを測るには、スコヤを用いる方法、水平器をタップハンドルの上に置く方法、ボール盤にセンタを取り付ける方法などがあります。 スコヤや水平器を使う方法では、被削材が水平であることも重要です。東西と南北のように交わる2方向で垂直を出しながら進めましょう。 ボール盤を使う場合は、ボール盤にセンタを取り付け被削材の下穴に押し当て、センタ出しをした状態で被削材を固定します。次に、タップを被削材に当てた状態でセンタをタップに押し当て、センタ出しをした状態でタップ加工を進めましょう。
工作機を使ってネジ加工を行う場合
タップ作業はフライス盤やマシニングセンタ、専用加工機などによって行われることもあります。このとき、タップハンドルに代わってタップを保持し、「機械のためのタップハンドル」ともいえる役割を果たすものがタッピングコレットやタッパーと呼ばれるタップ専用ホルダです。 内径ねじ切り工具という性質上、下穴の奥まで入り込んだタップを抜くために逆回転させる必要があるので、タップ専用ホルダにはこれらの機能が備わっています。

タップ加工には道具の選定が重要
タップハンドルは、タップ加工を行う際に人の手とタップをつなぐ専用工具です。タップハンドルを正しく使用することで、安定した適度な力加減での切削加工が行え、精度の高いめねじ成形が可能になります。 用途や作業の性質に合わせ、道具を正しく選んで使うようにしましょう。