切削油とは。種類ごとの特徴や効果、使用時の注意点について解説

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切削油とは。種類ごとの特徴や効果、使用時の注意点について解説

切削加工において、加工機械、切削工具と並び、重要な役割を持っているのが切削油です。この記事では、切削油の種類ごとの特徴や使用による効果、使用する際に注意するポイントなどをご紹介します。

切削油の種類と特徴

切削油は、水溶性と不水溶性の2種類に大きく分けられ、その中でさらに細分化されています。種類ごとに特徴が異なるので、加工方法や素材に合わせて適した切削油を選定することが大切です。ここでは、切削油の種類による特徴をご紹介します。

・水溶性と非水溶性

切削油は大きく分けると、水溶性と不水溶性の2種類です。水溶性切削油は、水で希釈して使用します。冷却性が高く引火の危険もないため使いやすい反面、劣化が早いという特徴を持ち、管理に注意が必要です。

一方で、不水溶性は希釈せずに使うことからストレートオイルとも呼ばれます。潤滑性・防錆性が高い利点がありますが、引火性があるため無人稼働における使用には不向きとされています。

・水溶性の3種類と特徴

水溶性切削油は成分と使用時の見た目から、エマルジョン・ソリュブル・ソリューションの3種類に分類されます。

エマルジョンは乳白色で油の粒子が大きく、水溶性の中では最も潤滑性に優れます。ソリュブルは半透明または透明で、潤滑性・洗浄性・冷却性のバランスが良好な点が特徴です。ソリューションは、本来は透明ですが緑に着色されたものが多く、消泡性・冷却性が高いという特徴を持っています。

・不水溶性の2種類と特徴

不水溶性切削油は大きく分けて、活性形と不活性形の2種類です。摩擦面の油膜強度を高めるために添加する油性剤や極圧添加剤、防錆剤などの成分によって分類されています。

活性形は極圧添加剤が必ず含まれ、難削材や歯車加工などに適しています。不活性形には極圧添加剤を含むものと含まないものがあり、銅に対する腐食性によりさらに3種類に分けられます。主に軽切削や柔らかい被削材に適しているのが特徴です。

切削油の使用による効果

加工時に切削油を使用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、作業時に切削油を使用することによる効果をご紹介します。

・潤滑作用により摩擦を低減

切削油の潤滑作用によって、被削材と切削工具との間に生じる摩擦力が低減します。工具寿命の長期化や切削抵抗の低減、構成刃先の防止、加工面の仕上げ精度向上などが期待できます。

・冷却作用による工具と材料の保護

切削加工時には工具とワークの摩擦によって600℃~1000℃もの高温が発生します。この熱を切削油で冷却し発熱を抑えることで、工具の変形やワークの熱変異の防止、加工精度向上、切削時間の短縮による作業の効率化などの効果があります。

・洗浄作用でトラブルを防ぐ

切削油を使用することで、切り粉を洗い流しながら加工できる点もメリットです。加工箇所から切り粉が常に除去され、製品への傷防止や切り粉詰まり防止、加工不良防止、工具保護などの効果があります。 また、切削油によって湿潤した状態で切削するため、切り粉が飛び散るのを防げます。

・防錆作用で機械と工具と製品を守る

切削直後の金属は被膜のないむき出しの状態で、非常に酸化しやすく、変質・変色の可能性も高い状態です。また、機械や工具は高剛性のものほど錆に弱いという弱点があります。 切削油は防錆効果が高いものもあり、機械や工具、製品の保護にも役立ちます。

切削油を選定する際のポイント

切削油を選定する際には、作業時に重視したい点を先に考え、それに沿って種類を絞り込んでいくと効率的です。切削油を選定する際のポイントには、以下のようなものが挙げられます。

・被削材から選定する

潤滑性が要求される鋼の切削には、水溶性ではエマルジョン、不水溶性では活性形が適しています。鋳鉄の場合は防錆が重要なため、不水溶性の使用が適切です。

アルミ合金では、変色抑制に配慮された切削油を選定します。銅合金の場合は腐食に注意が必要で、不水溶性の中でも活性形は銅腐食性があるため避けなければなりません。

・加工方法から選定する

加工方法から切削油を選定することも可能です。旋盤加工は高速加工が求められるため、冷却性に優れた水溶性が適しています。フライス加工ではチッピング防止のため、不水溶性の切削油が持つ潤滑性が求められます。穴あけ加工は冷却性が重要なことから、水溶性のエマルジョンが使われることが多いです。

研削加工では摩擦熱の発生を抑制するための潤滑性と、発生した熱を除去するための冷却性が重要となり、水溶性のソリュブルが適しています。

・環境への配慮を条件にする

環境適合の視点から、近年は廃油を焼却処分する際にダイオキシンを発生させないために塩素フリーの切削油が増えており、PRTR法によって指定された物質を含まない切削油も販売されています。

また、廃棄物削減を目指して切削油を使用しない、または少ない使用量で加工するドライ加工やミスト加工が実用化されている例もありますが、すべての加工に適用するのは困難です。 切削油を長期使用するために、対劣化性に優れた切削油を選定したうえで適切な管理を行いましょう。

切削油を使用する際の注意点

切削油を使用する際は、人体などへの影響を防ぐ必要があります。ここでは、切削油の使用時における注意点をご紹介します。

・切削油の飛散による影響

切削油を使用する加工では、作業中に油剤が飛散する「オイルミスト」によって壁や床が汚れ滑りやすくなります。 飛散した油剤は人体にも影響があるため、切削油の種類や供給量などの見直し、ダクトの設置など、飛散の抑制に心がけましょう。

・皮膚への付着に注意

切削油が皮膚に付着すると、油による刺激やかぶれが起こる危険があります。皮膚の露出が少ない作業服や手袋などを使用し、皮膚への付着を防ぐことが重要です。

・目や鼻を保護

切削油が目に入ると炎症を起こす危険があり、飛散した切削油には切り屑が含まれている可能性もあるなど、作業には危険を伴います。 切削油の臭いやオイルミストを吸い込むことで、気分が悪くなったり頭痛がしたりするなどの症状を引き起こすことも考えられるので、切削油の使用時は必ず保護メガネとマスクを着用し、目や鼻を保護しましょう。

・日常管理が大切

切削油の性能を保つためには、日常的な管理や点検が重要です。水溶性切削油は防腐剤の使用と濃度管理によって腐食を防ぎ、切り屑と浮上油を除去して劣化を防がなければなりません。 不水溶性切削油では、切り屑や異物、水分、他の油分などの混入に注意し、粘度低下を抑える必要があります。

加工精度を高めるためには切削油が重要

切削油には複数の種類があり、それぞれに適した被削材や加工方法があります。高い加工精度を維持するためには、切削油の選定と正しい使用が重要です。 行う作業や用いる素材に適した切削油を選定し、留意点に配慮したうえで、安全かつ精度の高い切削加工を行いましょう。