旋盤バイトホルダは使い分けが重要! 選び方のポイントとは

旋盤バイトホルダは使い分けが重要! 選び方のポイントとは

スローアウェイバイトのチップを保持するために用いる「バイトホルダ」は、作業時にチップを固定するだけの部品ではありません。どのような旋盤加工を行うかによって、適したものを使い分ける必要がある重要な工具です。 そこで今回は、重要な役割があり適正な使い分けが必要な工具「バイトホルダ」の種類や選定方法について詳しくご紹介します。

旋盤バイトホルダの種類

スローアウェイバイトにおいて、チップを保持するための部分をバイトホルダと呼びます。 バイトホルダは大きく外径加工用と内径加工用の2種類に分けられ、それぞれ特徴が異なるため、加工に応じて使い分ける必要があります。

・外径加工用バイト

外径加工用のバイトホルダは、作業性を上げるために剛性を高めている点が特徴です。加工の方法に合わせて適した使い分けできるよう、さまざまな形状のホルダがあります。中でも切り込み角(アプローチ角)は切削条件や切り込み深さに関わるため、適したものを選定しなければなりません。 またチップを固定するクランプ方式にも、ねじ式(スクリューオン式)、レバーロック式、ピンロック式、押え金式などの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

・内径加工用バイト

内径加工用バイトは、「予めドリルなどで開けられた穴を拡大するためのバイト」という意味で「ボーリングバー」とも呼ばれています。穴の奥に進むほど近接固定ができない内径加工では、ビビリが発生しにくいよう高い剛性が必要です。そのためにはシャンク径をできる限り太くしつつ、加工穴径や切りくず排出も考慮して選定しなければなりません。 また、直線加工や通し穴などの用途で用いられるものと、バックボーリングなどの作業で使われるものとでそれぞれ形状が異なるため、加工に応じて使い分ける必要があります。

バイトホルダの選び方

バイトホルダは大きく2種類に分けられますが、その中でも大きさや切り込み角、クランプ方式などはバイトホルダによって異なるため、使用する場所や目的などの条件を考慮して、最適なものを選ぶことが重要です。 では、バイトホルダの選び方にはどのようなポイントがあるのでしょうか。作業や材料に合わせ、適したバイトホルダを選定するポイントについてご紹介します。

・切り込み角から選ぶ

バイトホルダが対応できる加工形態は、切り込み角によって決まります。直角の仕上がりを必要としないのであれば、切り込み角90°未満のバイトホルダを選択すると、片面に4つの切れ刃があるチップを取り付けられるため経済的です。

ただし、切り込み角が小さいバイトホルダを選定した場合は、送り方向が小径になるような加工ができないこともあります。バックフィード加工を行う場合は切り込み角が105°以上のもの、面取り加工をする場合には45~60°のものが適しています。

■バックフィード加工
■面取り加工
・クランプ方式から選ぶ

チップをバイトホルダに固定する際のクランプ方式によって、適している加工は異なります。また、クランプ強度やチップ交換の作業性も異なるため、バイトホルダ選定の際にはクランプ方式も重要です。 最も普及しているクランプ方式は、交換の作業性や交換前後での切れ刃の位置再現精度が高いレバーロック式です。小径のホルダや内径用ホルダには、小さなチップの固定もできるねじ式が向いています。

■レバーロック式
  • クランプ方式にはほかにも、チップの穴を使って抑えるように固定するピンロック方式、チップを上から抑えるように挟み込んで固定するクランプオン方式などがあります。

    ・内径加工の場合はシャンク径や素材に注意

    内径加工の場合は、穴の奥まで加工を行うことで突き出し量が大きくなりがちです。そのためバイトホルダの長さと径の関係が重要で、この2点によって加工の作業性だけでなく工具の寿命や仕上がりの品質も変わります。 ホルダの太さに対して長さが長くなるほどビビリが発生しやすく、切り込み量や送り速度などの切削条件が限定的になります。ビビリが発生することで、仕上げ面の悪化や工具寿命の低下にもつながる可能性があるため、できるだけ径が太いホルダの選定が必要です。 また、ビビリや振動への対策として、剛性の高い超硬合金やヘビーメタルのホルダが用いられることもあります。

    チップだけでなくバイトホルダも確認を

    旋盤で使うバイトを選ぶ際に、チップの選定に気を配る方は多いかもしれませんが、適したバイトホルダの選定も重要です。作業に適したバイトホルダを使うことで、作業性が高まったり、工具寿命が延びたりといったメリットを得ることができます。 行いたい加工や求める仕上がりの品質に対して、選んだバイトホルダが適しているかどうかを確認し、高品質かつ安全で高効率な作業をいつでも行えるようにしましょう。