リーマ加工とは? 高精度な穴あけに欠かせないトラブルへの対処法

リーマ加工とは? 高精度な穴あけに欠かせないトラブルへの対処法

製品の仕上がりは、穴あけの精度に大きな影響を受けるものです。高品質な製品を作るには、ドリルであけた穴の精度を高めるためにリーマ加工を行う必要があります。
しかし、リーマ加工の際にトラブルが発生し、面粗さの不良につながる恐れも捨てきれません。穴あけの精度を高めるには、リーマ加工について詳しく理解することが大切です。
ここでは、リーマ加工の概要に加えて、加工時によくあるトラブルの対策方法をご紹介します。

リーマ加工とは?

リーマ加工とは、事前にあけておいた穴の精度を向上させるために行う加工のことです。
通常、材料への穴あけは「ドリル」と呼ばれる切削工具によって行われますが、ドリルだけでは求められる穴径や面粗さ、真円度などを満たせない場合もあります。
穴の精度が求められる加工では、ドリルであけた下穴に「リーマ」と呼ばれる棒状の工具を通すことで、穴径を少しずつ広げながら、目標の寸法精度へと仕上げていきます。
リーマ加工はボール盤などの工作機械を使用する方法が一般的ですが、手回しで作業することも可能です。

リーマ加工で使用する「リーマ」の特徴

ドリルであけた穴の寸法精度を高めるための切削工具がリーマです。手作業で使用するハンドリーマと、ボール盤などで使用するマシンリーマに大きく分けられます。
さらに、側刃の形状からも、ストレート刃やねじれ刃といった種類に分けることが可能です。ねじれのあるリーマの方が切り屑排出性で有利なため、加工速度を上げられます。
穴の加工に用いるという点ではドリルと似ていますが、リーマはシビアな穴寸法精度を狙ったり、穴の面性状を良くしたりする用途に特化した工具です。ドリルのように、穴をあけることはできません。
さらに、リーマ加工では工具が下穴に倣って進んでいってしまうため、下穴の中心ズレや真直度といった、穴全体の形状を修正することは不可能です。
下穴そのものの形状は、穴あけ加工(ドリリング)の精度に左右される点には注意してください。

リーマ加工の流れ

リーマ加工で穴の寸法精度や面性状を良くするには、適切な手順で加工を行うことが大切です。リーマ加工の大まかな手順を覚えておきましょう。

・下穴をあける

前述のとおり、リーマには穴をあける働きがありません。事前にドリルを使って下穴をあけておく必要があります。
下穴をあける際は、最終的に仕上げたいサイズよりも少し穴径を小さくして、取りしろを残しておくことが重要です。取りしろが少ないと、きれいに仕上がらない恐れがあります。
一方で、取りしろを大きくし過ぎると切り屑が詰まる原因になるので注意しましょう。
取りしろのサイズはリーマの種類や材料の材質によって左右されますが、0.2~0.5mm程度が基本です。

・リーマの挿入

下穴をあけ終えたら、リーマを回転させながらゆっくりと挿入します。止まり穴の場合は穴の底面、通し穴の場合は反対側までリーマが到達したら、ゆっくりと引き抜きましょう。
リーマ加工を手作業で行う際に、工具を逆回転させるのは厳禁です。逆回転させてしまうと切り屑が正常に排出されず、溝にたまってしまいます。
そのまま加工を続けると、切り屑によって仕上げ面に傷ができてしまう恐れがあるため注意が必要です。

リーマ加工のよくある課題と対策方法

穴の精度を高めるために欠かせないリーマ加工ですが、トラブルが発生して面粗さの不良につながるケースも見られます。
よく見られる課題と対策方法を踏まえて、適切に対処することが大切です。

・工具の折損

リーマは、扱い方を誤ると折れてしまうことがあります。主な工具折損の原因は、下穴の加工不良や切り屑の詰まり、加工による負荷などです。
リーマの折損を防ぐために、下穴を大きくして切り込み量を調整する、下穴の精度を高める、加工条件を見直して負荷を下げる、クーラントで切り屑の排出性を高めるといった対策を行いましょう。

・面粗さの不良

リーマ加工は、リーマの切れ刃で穴寸法を広げてから、加工面をマージン部でならす(バニッシュする)ことで面粗さを向上させています。
そのため、工具の振れは面粗さの不良に直結してしまいます。ツールホルダーを見直したり、工具の取り付け精度を高めたりして振れを抑制することも重要です。

・穴径の不良

リーマ加工において、穴径の精度が低下する主な原因は、工具の振れと下穴精度のばらつきです。穴径の精度不良を改善するために、適切な取りしろを設ける、加工時の温度変化を抑えるなどの対策も欠かせません。
具体的には、穴径や加工物の材質に合わせて適切な下穴をあける、クーラントを用いて冷却し加工中の温度変化を防ぐといった対策を行いましょう。

リーマ加工で製品の品質を高めよう

リーマ加工は、ドリルであけた穴の精度を向上させるために行う加工です。近年は高い精度を求められる部品が増えていることもあり、リーマ加工の重要性は高まりつつあります。
しかし、リーマ加工が面粗さの不良につながることもあるため、加工時は注意が必要です。精度を維持するために、正しい加工手順を踏むことを徹底しましょう。
また、リーマ加工で起こりやすいトラブルと対処法を把握したうえで、加工を行うことも大切です。

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