プリハードン鋼とは? 主な種類や特徴、加工のポイントなどをご紹介

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プリハードン鋼とは? 主な種類や特徴、加工のポイントなどをご紹介

プリハードン鋼は、主に金型の材料として普及している鋼材ですが、どのような特徴を持っている金属なのでしょうか。 この記事ではプリハードン鋼の種類や用途、加工時の工具選定のポイント、加工時の注意点などをご紹介します。

プリハードン鋼とは

プリハードン鋼とは、中程度の焼き入れ処理がすでに施されている金属材料で、金型材料として使われることが多いです。「性質を調整されている」という意味で、調質鋼と呼ばれることもあります。 熱処理が不要なためコスト面で優れ、工数削減によるリードタイムの短縮を図れます。また、高硬度でありながら被削性が高く加工しやすいというのも特徴です。 再度の熱処理でさらに硬度を高められますが、時間の経過により硬化する「時効硬化現象」を応用した一部のプリハードン鋼は、通常の熱処理とは異なる方法で硬度を出しているため、焼き入れ・焼き戻しによる硬度向上はできません。

プリハードン鋼の種類

プリハードン鋼は金型材料とし使われることが多いため、鏡面仕上げ性やシボ加工性など、金型として加工する際にメリットとなる性質が重要視されます。 また、プリハードン鋼では、多くの場合メーカーごとの材質名称が一般的な鋼種の呼称として使われており、代表的な種類としては以下のようなものが挙げられます。

・NAK55

プラ型向けプリハードン鋼で、鏡面仕上げ性やシボ加工性、溶接性、被削性に優れています。納入硬度はHRC37~43で、時効硬化性を持つため熱処理による硬度の向上はできません。NAK80と比較し、被削性の高い材料です。

・NAK80

プラ型向けプリハードン鋼で、鏡面仕上げ性や耐摩耗性、被削性、溶接性、シボ加工性に優れています。納入硬度はHRC37~43で、NAK55と同じく時効硬化性を持つため、熱処理による硬度の向上はできません。 NAK55より靭性が高く精細な鏡面仕上げが可能ですが、被削性は低下します。

・HPM1

プラ型向けプリハードン鋼で、硬度に対し被削性が高く、汎用金型に適した材料です。納入硬度はHRC37~41で、被削性に優れることから快削プリハードン鋼とも呼ばれています。

・HPM38

鏡面仕上げ性と耐食性において極めて優れた性能を発揮する、プラ型向けプリハードンステンレス鋼です。納入硬度はHRC29~33ですが、焼き入れ、焼き戻しでHRC50~55の硬度を得られます。熱処理歪みが小さいため、精密型の材料に適しています。

・PXA30

プラ型向けプリハードン鋼で、PX5を改良したタイプです。納入硬度はHRC30~33で、鏡面仕上げ性やシボ加工性、被削性、溶接性、放電加工性に優れています。

・G-STAR

耐食性の高さが特徴のプラ型向けプリハードンステンレス鋼です。納入硬度はHRC33~37で、焼き入れ、焼き戻しによってHRC48程度の硬度を得ることも可能です。

・S-STAR

SUS420J2系の耐食性を有し、鏡面仕上げ性や耐食性、シボ加工性、EDM性に優れたプラ型向けプリハードンステンレス鋼です。納入硬度はHRC31~34で、焼き入れ、焼き戻しでHRC53程度の高硬度が得られます。

・STAVAX(H)

SUS420J2系の耐食性を有するプラ型向けプリハードンステンレス鋼です。納入硬度はHRC27~35で、鏡面仕上げ性や耐食性、耐摩耗性、被削性に優れます。

・GO40F

プレス型向けプリハードン鋼です。納入硬度はHRC36~40で被削性に優れ、切削加工時の歪みが少ないのが特徴です。

・DH2F

ダイカスト型向けのプリハードン鋼で、納入硬度はHRC37~41です。耐溶損性や耐ヒートチェック性が良好で、被削性に優れます。

プリハードン鋼の被削性と加工時のポイント

プリハードン鋼は熱処理によって被削性が高められているため、高硬度でありながら加工性は良好ですが、さらに加工面の精度を向上させたい場合は切削速度を上げ、構成刃先の付着を防ぐのが有効です。 加工精度に応じて、切り込み量と送り量を調整しましょう。フライス用ホルダとエンドミルのような切削工具の振れは切削面の精度に大きく影響するため、振れの管理とホルダの定期点検・交換が必要です。

プリハードン鋼加工に使用する工具の選定方法

プリハードン鋼の加工に使う切削工具の選定では、コーティング・振れ精度・切れ刃の精度の3点が重要です。 コーティングは、高速切削に対応したものが推奨されます。振れに関してはエンドミルの場合、シャンクと切れ刃の振れが5マイクロメートル以内になるよう調整することにより、仕上げ加工の向上につながります。 (刃振れとは…多刃エンドミルの場合、ツールホルダ装着時に各刃の外径(半径)を測定した際の測定値の差を刃振れと呼び、刃径公差とは異なります。)

プリハードン鋼を使えばコストを下げることも可能

プリハードン鋼は、プラスチック金型材料の主流となる鋼材として広く使用されています。熱処理が施されているのでそのまま機械加工が行え、コストや工数を削減できるのがメリットです。 快削タイプのプリハードン鋼なら被削性もよく、切削工具寿命も長くなりますが、より硬度を高めたり耐食性を優先したりしているものは被削性が低い場合もあります。 プリハードン鋼は種類が多く特徴もそれぞれ異なるため、材料ごとの特性を見極めて工具を選定し、適切な切削条件を設定することが大切です。