公差表はどう使う? 公差やはめあいの基本、記号の意味などを解説

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公差表はどう使う? 公差やはめあいの基本、記号の意味などを解説

何らかの素材を加工するとき、時間や人手、材料、工具などにかけるコストは精度と背中合わせの関係ともいえます。精度を突き詰めればコストが膨らみ、誤差ゼロを限界まで目指すとなると、非常に多くの時間も必要です。このような、コストと精度のバランスをとるために必要となるのが公差です。
この記事では、公差の意味や記号の読み方、公差表の見方などをご紹介します。

そもそも公差とは

人の手でものを作り出すとき、指定された寸法に限りなく近づけることはできますが、誤差を完全にゼロにすることは理論上できません。寸法が100mmと指定されている場合、100.0000……と小数点以下を増やしていけば、必ずどこかで誤差が生じてしまうためです。
限りなくゼロに近い誤差を目指す場合、使う工具や加工機械の品質、試行回数を重ねる時間や材料費など、加工コストは無限に膨らんでいくため、一定の範囲内で許容される誤差をあらかじめ設定する必要があります。

このような「許され得る誤差」が、公差または許し代(ゆるししろ)と呼ばれるものです。公差の指定は、特に穴と軸を組み合わせる「はめあい」部における寸法において重要になります。
ある部品の穴に軸を差し込む場合、その軸が空回りしても良いか、あるいは固定される必要があるのかといった、製品としての機能を満たす条件に関わってくるためです。

公差の設定は業界や用途によって範囲や手法が異なるため、JISによる規格があり表記方法も統一されていますが、社内で独自に公差を定めている企業もあります。

はめあいの種類

はめあいとは、1つの部品の穴、または溝にもう1つの部品を組み合わせることです。穴と軸のように組み合わせる部品同士の関係において、許容差ごとに種類が分けられています。
ここでは、はめあいの種類とそれぞれの特徴、用いられ方の一例をご紹介します。

・すきまばめ

穴寸法に対して軸が小さいようなはめあいを「すきまばめ」といいます。滑り軸受や引き出しのように、2つの部品同士を固定せずに動かすことが前提のケースで用いられ、穴の公差域が軸の公差域より必ず大きくなるのが特徴です。

・しまりばめ

穴寸法に対して軸が大きく、穴と軸の間に隙間がないはめあいが「しまりばめ」です。圧入する軸受やピンなど、一度組んだら外せないような固定を要する部品の組み合わせに用いられ、軸の公差域は穴の公差域より必ず大きくなります。

・中間ばめ

穴と軸のどちらが大きくなるか、加工の具合次第で変化する公差が指定されているはめあいを「中間ばめ」といいます。穴と軸それぞれの公差域の中で、どちらが大きくなるかによってすきまばめになったり、しまりばめになったりするのが特徴です。

しまりばめほど強固ではないものの、ある程度の固定が必要な組み立てで使用され、例えばリーマボルトの作成において指定されるはめあいは、多くの場合において中間ばめとなります。

公差に書かれた記号の意味

公差は以下に紹介する項目で表記され、それにしたがって設計や加工を行うことになります。
ここでは、公差に書かれた記号の意味をご説明します。

・基準寸法

「Φ30 H8」などと書かれた公差表記があった場合、「Φ30」の部分が基準寸法です。ノミナル寸法とも呼ばれ、穴径や溝幅などの基準となります。基本的には、この基準寸法を目指して加工を行っていきます。

・サイズ許容区間(公差域)

基準寸法の後に表記されたA~ZCのアルファベットは、基準寸法からの偏りを示す記号です。前述した公差表記の場合は、「H」の部分がこれに当たります。
穴基準の場合は大文字で表記し、A~Hまでは+公差、J~は-公差、JSは中間といったように、公差の区分を表しています。軸基準は小文字で表記され、穴径とは逆にa~hまでは-、j~が+公差です。

JIS改定によって、従来の「公差域」という表現から「サイズ許容区間」という表現へと呼び方が変更されましたが、現在も公差域という呼び名が定着しています。

・基本サイズ公差等級番号

アルファベットに続く数字は「基本サイズ公差等級番号」と呼ばれ、公差の幅を表すものです。この数字が大きいほど公差の幅は大きくなり、精度の高い加工が求められる場合には数字が小さくなります。
基本サイズ公差等級番号は、ISOのIT公差等級表を基準として設定されています。

・実際の公差値

基準寸法、アルファベット、数字と3つの項目から公差は指定できますが、それらに続いて実際の公差値が実数値で表記される場合もあります。
実際の公差値を表記することで、作業者が公差表を使って公差値を確認せずに済むというメリットがあります。

公差表の見方

公差表では、左端に穴または溝などの基準寸法があります。ここで適合する範囲内に入る基準寸法を見つけ、その行を横に見ていくのが正しい公差表の見方です。
例えば「穴径30mm」と指定されている場合は、「30を越え40以下」の行を見ます。次に、サイズ許容区間(公差域)の欄を見て、H8のように指定されているサイズ許容区間に該当する列を縦に確認します。

このように、基準寸法の行と許容サイズ区間の列を確認し、それぞれが交わる場所に記載されているのが、最大許容寸法と最小許容寸法、すなわち「公差」です。公差表を確認することで、公差が正しく把握できるようになっています。

加工の際は公差表を活用することが重要

金属の加工を行う場合、コストと精度のバランスをとるためには、公差に沿って加工を行うことが重要です。公差の指定がある加工を行う場合は、必ず公差の記号と公差表を活用し、公差粋の範囲内で加工を実施しましょう。