エンドミルのねじれ角・すくい角とは? さくさくおすすめのエンドミルもご紹介

エンドミルのねじれ角・すくい角とは? さくさくおすすめのエンドミルもご紹介

エンドミルによるフライス加工を行うとき、エンドミルのねじれ角とすくい角は加工性を大きく左右する重要な要素です。
この記事では、エンドミルのねじれ角とすくい角が加工にどのような影響を与えるのかをはじめ、併せて確認したい不等リードや不等分割の概要、さくさくおすすめのエンドミルをご紹介します。

エンドミルのねじれ角とは

ねじれ角とは、エンドミルの軸方向を基準にした際の外周刃の傾きを指します。30°程度のものが一般的です。ねじれ角が40°を超えるものは強ねじれ、15°程度のものは弱ねじれ、0°のものは直刃またはスロッチングエンドミルと呼ばれます。
ここでは、ねじれ角の違いによる特徴をご紹介します。

・強ねじれ

強ねじれのエンドミルは、外周刃が長くなるのが特徴です。被削材と同時に接触する切れ刃が多いことから、1枚にかかる負荷が分散されて工具寿命に有利に働きます。切削熱も分散されるため、ステンレス鋼などの熱伝導率が低い被削材の切削にもおすすめです。

強ねじれのエンドミルは切れ味が良く、切削抵抗を抑えられることから、仕上げ面の粗さも良好です。そのため、平滑な仕上げが求められる場面で使われることがあります。切り屑が小さく分断され、切り屑排出性に優れる点もメリットです。

ただし、柔らかい材質の切削を得意とする一方、硬い材質に対しては切り屑の巻き込みなどによる欠けやチッピングの可能性があります。 また、エンドミルが被削材と接触する際に、ねじれによってエンドミルをホルダから引き抜こうとする力、または被削材を引っ張り上げようとする力(いずれもスラスト抵抗)が強く働きます。強ねじれのエンドミルを使う際は、剛性の高いホルダや固定治具が必要です。

・弱ねじれ

弱ねじれは、強ねじれに比べて外周刃が短く切削抵抗は高いです。しかし、エンドミルを引き抜こうとする向きの力が弱く、ビビリの発生は抑えられます。刃先の欠けも起こりにくいので、チタンのような硬い材質の切削に適しています。
また、強ねじれのエンドミルだと、溝加工の際に溝に倒れ(傾き)が発生する場合がありますが、弱ねじれでは倒れを比較的小さくできる点もメリットです。

エンドミルのすくい角とは?

切れ刃が被削材を削り取る際に、切り屑を流して滑らせる面をすくい面と呼びます。エンドミルの軸の中心から刃先に向かって引いた線と、すくい面との角度がすくい角です。エンドミルにおいて、すくい角は刃先の鋭利さや剛性、仕上げ面粗さ、切り屑形状などを決定する重要な要素です。

エンドミルのすくい角の形状による違い

エンドミルは、刃先のすくい角の角度がプラスかマイナスかによって、ポジティブ形状とネガティブ形状に大きく分けられます。それぞれの特徴は、以下の通りです。

・ポジティブ形状

すくい角がプラスのものがポジティブ形状です。ポジ形状や正角、ポジティブレーキと呼ばれることもあります。
ポジティブ形状は切れ刃が鋭利で、切削抵抗が小さいのが特徴です。低速でも良好な面粗さを得られる一方で、チッピングは起こしやすくなります。 むしれや溶着が起こりやすい、軟質の被削材に適しています。

・ネガティブ形状

ネガティブ形状は、すくい角がマイナスのもので、ネガ形状や負角、ネガティブレーキと呼ばれることもあります。
低速では切削抵抗が大きく面粗さも低下しますが、高速では良好な面粗さを得られます。チッピングが起こりにくいため、硬度の高い被削材に最適です。

押さえておきたい不等リードや不等分割

エンドミルには、切れ刃ごとにねじれ角が異なるものや、底刃の間隔に偏りを持たせているものがあり、それぞれ不等リード、不等分割と呼ばれます。
不等リードと不等分割の特徴は以下の通りです。

・不等リード

切れ刃1枚ごとにねじれ角の異なるものが、不等リードエンドミルです。
外周刃のねじれ角がすべて同じ通常のエンドミルは、切削時に刃と被削材が当たる周期が一定になり、ビビリが発生しやすいというデメリットがあります。

一方、不等リードエンドミルは意図的にねじれ角を変えていて、切れ刃と被削材の接触する周期が一定ではありません。切り屑の排出方向を変え、切削抵抗を分散させることで、ビビリを抑える効果が期待できます。

・不等分割

一般的な4枚刃のエンドミルの場合、底刃は90°ごとに等間隔に並んでいます。不等分割エンドミルは、隣り合う刃と刃の外周上の距離や開き角度を交互に変えてあるのが特徴です。
不等リードと同様に、切削時のビビリ発生を抑えられます。

幅広い用途で使えるさくさくのエンドミル

エンドミルのねじれ角やすくい角は、エンドミルの特性を左右する重要な要素です。それらの角度を意図的に変えて配置することで、機能性を向上させたものもあります。 ここでは、おすすめのさくさくのエンドミルをご紹介します。

・超硬不等リードエンドミル 4枚刃/2.5D刃長/AlCrコーティング

不等リード/不等分割形状を採用した4枚刃のエンドミルで、粗加工から仕上げ加工に適しています。推奨被削材は鋼P、ステンレスM、鋳鉄K、難削材Sなどです。

超硬不等リードエンドミル 4枚刃/2.5D刃長/AlCrコーティング

・超硬ラフィングエンドミル 3~4枚刃/3.5D刃長/ファインピッチ/TiAlNコーティング

工具材種に超硬を採用した、一般鋼の粗加工用ラフィングエンドミルです。刃数は3枚と4枚の2種類で、刃径はΦ6~20までの全6種類ご用意しています。

超硬ラフィングエンドミル 3~4枚刃/3.5D刃長/ファインピッチ/TiAlNコーティング

・超硬スクエアエンドミル 2枚刃/2D刃長/AlTiNコーティング

工具材種に超硬を採用した2枚刃のエンドミルです。被削材は鋼PやステンレスM、鋳鉄K、ねじれ角は30°で、汎用的に使用できます。

超硬スクエアエンドミル 2枚刃/2D刃長/AlTiNコーティング

・超硬ボールエンドミル 2枚刃/2D刃長/AlTiNコーティング

工具材種に超硬を採用した2枚刃のボールエンドミルです。被削材は鋼Pや鋳鉄K、ねじれ角は30°で、汎用的に使用できます。

超硬ボールエンドミル 2枚刃/2D刃長/AlTiNコーティング

・超硬ラジアスエンドミル 4枚刃/3D刃長/AlTiNコーティング

工具材種に超硬を採用した2枚刃のエンドミルです。こちらもねじれ角は30°で、汎用的に使用できます。

超硬ラジアスエンドミル 4枚刃/3D刃長/AlTiNコーティング

行いたい加工に適したエンドミルを選定しよう

ねじれ角やすくい角によって、エンドミルの加工性は変わります。重要なのは、加工に適した材種や形状のエンドミルを選定することです。 さまざまな種類を取り揃えて幅広い加工に対応できる、さくさくのエンドミルをぜひご活用ください。