耐熱合金の特性とは? 加工時の注意点や工具の選定方法もご紹介

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耐熱合金の特性とは? 加工時の注意点や工具の選定方法もご紹介

飛行機のジェットエンジンや火力発電のガスタービンなど、超高温環境で使用する部品は高温に対する耐性が必要です。一般的な鉄鉱では高温によって強度低下や寸法変化が起こるため、使うことができません。そこで、超高温環境での使用を想定して作られた合金が耐熱合金です。 耐熱合金は高温に対する耐性が高く有用な材料ですが、その特性から被削性は低く、難削材としても知られます。ここでは耐熱合金の特徴と切削加工時の注意点、切削工具選定のポイントなどをご紹介します。

耐熱合金とは

耐熱合金は、高温にさらされることを前提に作られた耐熱性が高い合金です。超合金や超耐熱合金と呼ばれることもあります。 ニッケル(Ni)やコバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)などの元素を添加することで耐熱性を向上させていて、代表的なものはチタン合金、ニッケル基超耐熱合金、コバルト基超耐熱合金などです。また、耐熱性だけでは金属材料として実用的でないため、クロム(Cr)などの耐酸化性・耐食性の向上させる元素も添加されます。 その特性をいかして火力発電のボイラーやタービン、自動車のエンジンや航空機のタービン、高温を要する化学反応装置のような機器や装置に使われており、超高温を要件とする設備には欠かせない材料です。

耐熱合金と耐熱鋼の違い

耐熱性のある合金として、耐熱鋼と呼ばれるものもあります。耐熱合金と耐熱鋼の違いについて明確な定義はありませんが、合金元素の含有量で区分されるのが一般的です。 合金の質量に対して、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)などの合金元素含有量の合計が50%未満であれば耐熱鋼、50%以上であれば耐熱合金と呼ばれます。 耐熱鋼はJISにも規格があり、SUS系・SUH系などが規定されていて、組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系および析出硬化系に分類されています。 耐熱合金に区分されるものは、耐熱鋼よりも高い温度環境下での強度や耐食性を持つのが特徴です。耐熱鋼として代表的なものに、750℃ほどまでの耐熱性を持つ特殊ステンレス鋼がありますが、耐熱合金に区分されるものは最大1500℃まで耐え1000℃での常用を想定したものもあります。

耐熱合金の被削性や切削条件

耐熱性が高いという特徴を持っている耐熱合金は、切削加工が難しい材料でもあります。 耐熱合金は熱伝導性が低く、熱を切り屑に移して母材の外に逃がすことは期待できません。切削熱が切削点に集中しやすいため、加工硬化などの熱によるトラブルが起こりやすいです。 耐熱合金の中でも特にニッケル基耐熱合金やチタン合金などは、硬くて粘り強い性質を持ち、切削加工を困難にする条件がそろっているため難削材にあたります。 熱によるトラブルの対策として、切削速度は低めに設定して熱の発生を抑えることが推奨されます。加工硬化を防ぐため送り量は落としすぎないように注意しながら切削条件を設定しましょう。

耐熱合金を加工する際の注意点

耐熱合金は高温環境下での強度を求めて作られているため、高温時の切削抵抗が大きくなる性質があります。高い温度の切削熱が発生し、熱伝導性も低いなど、熱トラブルが発生しやすい条件が揃っているのです。 冷却機能に優れたクーラントを十分に行き渡るように使用して、切削熱対策を行いましょう。切削熱を持たないような高送りも有効です。また、エンドミルでは工具寿命を考え、少ない切り込み量で均一な切削を行うトロコイド加工も推奨されます。

耐熱合金の加工に使う工具の選定方法

耐熱合金の切削加工では、すくい角が小さいと切削抵抗が大きくなり切削熱が発生します。切削熱の発生はトラブルの原因となるため、耐熱合金の切削にはすくい角の大きいポジチップが適しています。 工具の耐塑性変形性を確保するために、切れ刃の靭性とコーティングも重要です。ISO(国際標準化機構)の規格でS種に分類される切削工具を使用し、可能であればオイル穴のある内部給油式の切削工具を選ぶことが、切削熱の低減による工具寿命の長期化、異常損傷の防止につながります。

耐熱合金の特性を押さえて加工に活かそう

耐熱合金は1,000℃以上もの超高温に耐えられるよう開発された合金です。その用途は人の暮らしに深く結びついたものも多く、火力発電や飛行機のジェットエンジンなど高温環境にさらされる機器や装置で活躍しています。 一方で、切削加工時には高温耐性が課題となります。高温に耐え強度を維持するという特性から、切削加工時に高温の切削熱が発生しやすいうえに熱が分散しにくく、高温での強度もあるため、熱と硬度への対策は欠かせません。 耐熱合金の切削加工の際は、その耐熱性と強度の特性を踏まえたうえで、適した工具の選定と切削条件の設定が重要です。