エンドミルの選び方とは?使用前に考えたいポイントも解説

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エンドミルの選び方とは?使用前に考えたいポイントも解説

エンドミルにはさまざまな形状や大きさがあり、カタログにも非常に多くの種類が掲載されています。
エンドミルを実際に探すとなると、多くの種類の中から使用目的に適したものを選ばなければならず、どのエンドミルを使えばいいのか迷う場面もあるのではないでしょうか。
この記事では、エンドミルの構造や刃形状をもとに、目的別のエンドミルの選び方をご紹介します。

エンドミルの選び方のポイント

エンドミルにはさまざまな種類がありますが、目的に沿った最適なエンドミルを選ばなければ、加工速度や精度が落ちたり仕上げが悪くなったり、最悪の場合は機械や工具を壊してしまう可能性もあるため注意が必要です。 いくつかの角度から考える、エンドミルの選び方のポイントをご紹介します。

1. エンドミルの構造から選ぶ

エンドミルを構造から分類すると、シャンクから刃先の先端まで同一母材で一体型になっているソリッドエンドミルと、インサートと呼ばれる刃が別体となっていて交換が可能なスローアウェイエンドミルの2つに大きく分けられます。
どちらにもそれぞれメリットがありますが、小径でも剛性が高く摩耗しても再研磨すれば使用可能なソリッドエンドミルの方が需要は高いと言えるでしょう。

2. 加工したい被削材や精度から考える

エンドミルに使用される刃部の素材は、主にハイス鋼と超硬合金の2種類です。
ハイス鋼(超速度鋼)で作られたハイスエンドミルは、コストパフォーマンスに優れているものの切削速度の面では劣ります。
一方の超硬エンドミルは超硬素材で作られており、耐摩耗性が高く切削時の送り速度も上げられますが、靭性が低く高価格などのデメリットがあります。
それぞれ対応できる被削材が異なるため、被削材の材質や硬度によってエンドミルを使い分ける必要があります。

3. エンドミルの形状で選ぶ

エンドミルは外周刃や底刃の形状に応じて、ストレート刃・ラフィング刃・テーパ刃・スクエアエンド・ボールエンド・ラジアスエンドなどの種類があり、それぞれ得意とする切削加工が異なります。
ストレート刃は水平面と垂直面の切削に向いていて、仕上げも可能です。この外周刃に波上の加工を施したものがラフィング刃で、切削速度が速く粗削りに向いています。インロー部やリブ溝などのテーパ形状の加工には、テーパ刃を使うのが一般的です。
また底刃としては、隅肉まで直角の加工ができるスクエアエンド、曲面の加工を得意とするボールエンド、その中間的存在のラジアスエンドなどがあります。

⇒外周刃や底刃の形状による用途の違いについて詳しくはこちら

4. 加工内容に応じて刃数を選ぶ

エンドミルは刃数によっても切削能力と適した使用法に違いがあります。
一般的に刃数が少ないほど切削抵抗が小さく、切り屑の排出性もよくなるので、切り屑の排出が重要となる溝加工や粗削りでは2枚刃が有利です。しかし、刃数の少ないものは芯厚が小さくなるため、剛性が低くなりたわみが起こりやすくなります。
反対に、刃数が多いものは剛性が高くたわみが起こりづらいので、高精度が求められる場面では4枚刃を用いるのが一般的ですが、送りが高いと切り屑の排出性が悪くなる為、切り屑を多く排出する加工には向いていません。

5. 刃長は加工する形状の深さや精度に合わせて選ぶ

刃長は、一度に切削できる深さに影響します。刃長の長いものほど深く切削を行えますが、ビビリが発生しやすくなります。また、無理な切削抵抗を受けた場合に折れやすいなどの注意点もあります。
加工形状から適切な刃長のエンドミルを選定することが重要です。

6. エンドミルの全長、大は小を兼ねない

エンドミルの全長は彫りの深さに影響するため、深彫りが求められる場面では全長の長いエンドミルが必要です。
しかし、全長が長ければたわみも大きくなり、切削精度は落ちてしまいます。また、エンドミルを保持具で保持する際、エンドミルの突出しを長く出し過ぎると振れが悪化し刃が欠損したり折損の恐れがあり大変危険です。必ず目的の加工に適した長さのものを選びましょう。

エンドミルは再使用できる

スローアウェイエンドミルはチップの交換が可能であり、常に新品の刃先に交換して使用できることが最大のメリットです。
これに対し、ソリッドエンドミルは一体型であるため刃の交換はできないものの、再研磨や再コーティングによってほぼ再生が可能です。
ソリッドエンドミルの研磨時期は、逃げ面の摩耗や刃径の減少により判断できます。また、コーナー部のチッピングなどが起こった場合なども再研磨の目安となります。

刃部の交換ができないソリッドエンドミルでも、再研磨により切れ味を回復させることができるという点は把握しておくとよいでしょう。

用途に応じて適切なエンドミルを選ぶことが大切

エンドミルは用途や目的に応じて適切なものを選ぶことで、安全で精度の高い切削加工が可能となります。この記事をご参考に、最適なエンドミルを上手に選択しましょう。