ドリルの先端角やねじれ角が持つ意味は? 選定に役立つ構成要素の基礎知識

ドリルの先端角やねじれ角が持つ意味は? 選定に役立つ構成要素の基礎知識

先端の角度や溝と溝の距離など、ドリルはさまざまな要素によって、加工の特性が変わります。この記事では、ドリルの先端角やねじれ角の概要をはじめ、ドリルの構成要素や、さくさくで販売しているおすすめのドリルについてご紹介します。

ドリルの先端角とは?

名前の通り、ドリルの先端の角度が先端角です。118度のものが最も一般的ですが、90度や140度など、用途に応じてさまざまな角度のドリルがあります。
では、ドリルの先端角はどのような役割を持っているのでしょうか。ドリルの先端角の持つ働きや、一般的な先端角の例をご紹介します。

・先端角の働き

先端角は、切削抵抗と切り込み量に影響する要素のひとつです。先端角が大きいと切り屑が短くなる傾向にあり、切り屑排出性が高くなります。逆に、先端角が小さいと切り屑が薄くつながりやすくなり、ドリルに巻き付きやすいです。

一般的には、先端角が大きいほど加工能率や工具寿命が向上し、穴出口のバリも小さくなるといったメリットがあります。ただし、いかなる時も先端角が大きければ良いというわけではありません。

例えば、先端角が大きくなるほどスラスト抵抗(進行方向の反対に向けてかかる切削抵抗)は大きくなるため、先端角の小さいドリルの方が被削材に食い付きやすくなります。先端角度が小さいと切れ味は鋭くなりますが、刃先がもろくなってしまうため、基本的には柔らかい被削材に使われることがほとんどです。

このように、被削材やドリルの素材によって最適な先端角は異なります。用途に応じて使い分けることが重要です。

・一般的な先端角の例

一般的なドリルは、先端角が118°に設定されています。加工穴の角度が重要視されるセンタードリルの場合は、先端角が60°や90°など先端角が鋭いものも見られます。これは、先端角が鋭くなるほど被削材に食い付きやすくなるためです。

一方で、超硬合金製のドリルは、粘り強さが低く欠けが生じやすいというデメリットがあります。切れ刃の強度を高めるために、130°や140°など、先端角を大きく取っている商品も多く見られます。

ドリルのねじれ角とは

ねじれ角は、ドリルの軸を0度としたとき、切れ刃がどれくらい傾いているかを示す角度です。ドリルの外周部ではねじれ角とすくい角が等しくなります。
約30度のねじれ角が一般的で、30度より角度が小さいものは「弱ねじれ」、大きいものは「強ねじれ」と呼ばれます。

ねじれ角が小さいと、切り屑排出性が良くなる一方で切削抵抗が大きくなります。逆にねじれ角が大きい場合、切削抵抗は低下しますが、切れ刃が鋭利になりチッピングや欠損の可能性が高くなります。

ねじれ角や先端角以外のドリルの構成要素

ドリルは、ねじれ角や先端角以外にもさまざまな要素で構成されています。ドリルの構成要素としては、以下が挙げられます。

・すくい角

すくい角は、ドリルの軸方向に対する切れ刃の傾きです。切削した切りくずを排出する役割を持つ「すくい面」の角度を表し、ドリル外周部では ねじれ角と同じになります。

・逃げ角

切削工具には、被削材と刃物が当たらないようにする「逃げ面」というものがあります。逃げ角は、被削材と逃げ面が作る角度のことです。被削材とドリルの摩擦を避け、送り運動に支障をきたさないように設けられています。7度~15度ほど設けられているのが一般的です。
逃げ角を大きくすると切削抵抗は小さくなりますが、切れ刃が鋭利になりチッピングや欠損が生じやすくなります。

・リード

リードは、溝を伝ってドリルを一周したときの長さを表したものです。ねじれ角が大きければリードは小さくなります。

・マージン

ドリル外周の溝に沿って一定幅で張り出した部分がマージンです。マージンによってドリル径が決定されます。ドリルでの加工時には外周のガイドになり、穴精度にも影響します。

・チゼルエッジ

ドリルの先端部にできる鈍角の部分です。切れ刃がないため被削材を切り進めることはできません。被削材を押しつぶすような動きをして、加工時に大きな抵抗を生むため、「シンニング」と呼ばれる溝を付けることが一般的です。

さくさくのおすすめドリル 5選

ドリルは、加工内容などに応じて使い分ける必要があるため、非常に多くの種類が販売されています。その中から最適なドリルを見つけることが、効率的に加工を行うためには重要です。
とはいえ、どのようなドリルが、どのような加工に適しているのかを把握するのは簡単ではありません。

ここからは、さくさくのおすすめドリルをご紹介していきます。対応している被削材もご紹介しているので、ぜひ加工の参考にしてみてください。

・超硬ドリル 3D/TiAlNコーティング/油穴なし/φ5[SMD0050S3D]

独自の工具形状により、良好な切り屑処理を実現した超硬ドリルです。安定した喰い付きにより、良好な穴あけ加工が行えます。
鋼PやステンレスM、鋳鉄Kなどの被削材に対応でき、刃径や溝長の異なる型番を揃えているので、幅広い用途に使用可能です。

⇒超硬ドリル 3D/TiAlNコーティング/油穴なし/φ5[SMD0050S3D]

・超硬ドリル 5D/TiAlNコーティング/油穴あり/φ5[SMD0050S5D OH]

内部給油方式により、ノンステップで高能率穴あけ加工が可能です。先端角は140度と大きめで、被削材は鋼PやステンレスM、鋳鉄K、難削材Sに対応しています。

⇒超硬ドリル 5D/TiAlNコーティング/油穴あり/φ5[SMD0050S5D OH]

・Gold-P ストレートシャンクドリル レギュラ/コバルトハイス/TiNコーティング/φ5[D2GP191050]

ステンレスをはじめ、チタンやインコネルといった難削材にも対応可能なTiNコーティングのストレートシャンクドリルです。先端角は135度、ねじれ角は33度となっています。

⇒Gold-P ストレートシャンクドリル レギュラ/コバルトハイス/TiNコーティング/φ5[D2GP191050]

・ストレートシャンクドリル ロング/コバルトハイス/φ3.3[D2104033]

ステンレスをはじめ、チタンやインコネルの様な難削材の深穴加工にも使用できます。溝長は56~134の間で用意していて、幅広い加工に対応可能です。

⇒ストレートシャンクドリル ロング/コバルトハイス/φ3.3[D2104033]

・テーパーシャンクドリル レギュラ/ハイス/HOMO処理/φ17.5[D1201175]

鋼、鋳鉄、グラファイトなど、汎用的に使用可能なモールステーパードリルです。ホモ処理により防錆、耐食性、耐久性に優れます。

⇒テーパーシャンクドリル レギュラ/ハイス/HOMO処理/φ17.5[D1201175]

加工に応じてドリルを使い分けよう

ドリルは、先端角やねじれ角、その他の要素によってさまざまな種類に分けられます。工具寿命を維持しながら効率的に加工を行うには、構成要素を理解したうえで、被削材や切削条件などに応じてドリルを使い分けることが重要です。
さくさくでは、幅広い条件に対応できるよう、数多くのドリルを取り揃えています。豊富なラインナップをご用意しているさくさくのドリルを、ぜひ加工に活用してみてください。