コーティング切削工具とは? コーティングの種類や特徴を解説

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コーティング切削工具とは? コーティングの種類や特徴を解説

切削工具には、工具の素材のみで作られているものだけでなく、表面に金色やグレーのコーティングが施されているものもあります。切削工具の表面にコーディングを施すことで、具体的にどのような効果を得られるのでしょうか。 この記事では、コーティング切削工具の特徴や種類ごとの違いなどをご紹介します。

切削工具のコーティングとは?

コーティング切削工具とは、高速度工具鋼(ハイス鋼)や超硬合金といった母材となる合金の表面を、薄い膜で覆ったものです。 工具母材となる合金より硬度に優れた材質で、表面に1~5μの薄い膜を形成することでコーティングを行います。

コーティング切削工具は、母材の持つ靭性とコーティングの硬さを両立できる点が特徴です。靭性と硬さを両立させることで、表面の摩耗を抑えながら欠損を防げるようになります。 また、コーティング処理で抵抗を少なくして滑りを良くすると、切削熱が抑えられて切り粉の排出も改善します。素材によっては、被削材と工具との間で発生する化学反応を抑え、構成刃先がつきにくい特性を与えることも可能です。

このように、コーティングには、切削工具の耐摩耗性や耐熱性、切り屑排出性、面粗さなどが向上できるというメリットがあります。

コーティングを生成する方法

切削工具にコーティング膜を生成する方法は、大きくCVDとPVDの2種類に分けられます。以下に、それぞれの特徴をご紹介していきます。

・CVD

CVD(Chemical Vaper Deposition・化学蒸着法)は、化学反応によって母材表面にコーティング膜を形成する方法です。CVDにより形成した被膜は、均一で密着性に優れています。
超硬材へのコーティング方法にはいくつか種類がありますが、1000℃近い高温で化学反応を起こし被膜させる反応蒸着法が一般的です。

従来、CVDによるコーティングは、高温で化学反応を起こすことで母材の強度が低下するなどのデメリットがありました。
しかし近年は、比較的低い温度で処理ができる低温CVDも開発され、母材の特性変化を抑えつつ密着性の高い膜の形成を行えるようになり、採用例が増えています。

・PVD

PVD(Physical Vaper Deposition・物理蒸着法)と呼ばれる方法です。薄膜となる物質を粒子の状態にして、母材の表面に付着・堆積させてコーティングを行います。具体的な手法としては、プラズマ(グロー放電)でコーティングの原料をイオン化して被膜させるスパッタリング法やイオンプレーティング法などが挙げられます。

約500℃と比較的低温で行うことで膜厚を薄くできますが、密着性は低くなります。

コーティングごとの種類と特徴

切削工具では、さまざまな種類のコーティングが使われています。代表的なコーティング膜の種類としては、以下が挙げられます。

・TiN(窒化チタン)

TiN(窒化チタン)を用いたコーティングは、金色の被膜が特徴です。「チタンコート」と呼ばれます。母材との密着性が高く比較的安価なこともあり、最も普及しているコーティングです。

・TiAlN(窒化チタンアルミニウム)

TiALN(窒化チタンアルミニウム)によるコーティングは、グレーの被膜をしています。硬さと耐熱性に優れていて、ステンレス鋼やチタン合金など、放熱性が低く熱の溜まりやすい被削材の切削に有効です。

・TiCN(炭化チタン)

TiCN(炭化チタン)を用いたものは、薄紫がかったグレー色のコーティング面となります。耐摩耗性が高く、非鉄金属や非磁性ステンレス鋼などの耐摩耗性を要する加工に有効です。しかし、高い切削熱が発生する加工には向きません。

・ダイヤモンドライクカーボン(DLC)

ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、黒またはグレーのコーティングです。ダイヤモンドの硬さとグラファイトの潤滑性の中間的特性を持ち、硬さと滑りの良さを両立しています。耐摩耗性が高いのが特徴で、焼付きに強く非凝着性にも優れます。
非鉄金属を中心にグラファイトやグラスファイバー、強化プラスチックなどの切削に用いられ、特にアルミニウム合金の切削に有効です。

・ZrN(窒化ジルコニウム)

ZrN(窒化ジルコニウム)は薄い金色のコーティングで、高シリカアルミを含むアルミニウム合金に最適です。鋳鉄やステンレス鋼、チタンの切削にも用いられます。

・CrN(窒化クロム)

CrN(窒化クロム)のコーティングは、摩擦抵抗が少なく潤滑性に優れています。銅に対する耐摩擦性が高いことから、銅の加工で用いられることが多いです。

被削材に応じてコーティングを使い分けよう

コーティングにはさまざまな種類があり、それぞれ得意とする加工が異なります。加工を行う際は、工具の母材だけでなく、コーティングも確認することが重要です。必要に応じて工具材質やコーティングを使い分ければ、作業効率や工具寿命の向上が期待できるでしょう。

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