面取り加工とは? 面取り加工の種類や目的をご紹介

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面取り加工とは? 面取り加工の種類や目的をご紹介

面取り加工は、あらゆる製品に施されている安全や精度に関わる重要な加工です。製品を作るうえで欠かせない面取り加工ですが、具体的にどのような種類や加工方法があるのでしょうか。
この記事では、面取り加工の種類や行う目的、加工方法などを解説します。

面取り加工とは

面取り加工とは、何らかの加工で成形された素材の角部分を除去し、鋭利な部分をなくす加工のことです。鋭利な角部分を削り、C面やR面といった滑らかな角に加工します。
図面では具体的に削り取る量が指定される場合が多く、「糸面取り」などと指定されていることもあります。
面取り加工はエッジ仕上げの一種にあたり、特にエッジが鋭利になりやすく、後工程や安全面での影響が大きい金属加工では重要な加工です。金属加工以外には、木材やガラス、セラミックといった材料でも面取り加工が行われています。

面取り加工の種類

図面では、面取り加工が必要な箇所に加工方法が指定されているのが一般的です。指定される面取りの種類としては、以下のようなものがあります。

・糸面取り

糸面取りは、素材の角を目に見えないくらいの精度で削り落とす面取りのことです。
具体的にどれくらい面取りを行えば良いのか指示されることはなく、「指示なき場合は糸面取り」、「バリなき事」などと表記される場合が多いです。
一般的には、ヤスリやサンダーなどを用いて0.1~0.3mm程度を目安に行います。
切削加工後のバリやカエリを除去するのが主な目的で、大きく削らないため加工時間がかからず、面取り加工の中では加工コストも小さい点がメリットです。手軽な反面、他の面取りほどエッジを削らないため、安全性の観点では劣る場合があります。

・C面取り

素材の角部を削り取り、45°の面を作る加工がC面取りです。一般的に、面取りというとC面取りのことを指す場合が多いです。
実際の図面では、「C面取りの事」や「指示なき面はC0.5」などと指定されています。Cの後に続く数字は、角の先端から辺で何mmの部分まで切削するのか示すものです。例えば「C0.5」と表現されていた場合は、角の先端から0.5mmの位置で切削を行います。

・R面取り

エッジに丸みをつける面取り加工がR面取りです。「R面取りの事」と指定されることもありますが、R加工やラウンド加工と指定されている場合もあります。図面ではRと半径で表記され、「R4」と記載がある場合は、「半径4mmの円状に面取り加工を行ってください」という指示になります。
エッジ処理としては最も手触りが良い加工ですが、弧を描くように角を切る必要があるため、加工に手間と時間がかかり、面取り加工の中ではコストがかかる加工です。

面取り加工の目的

具体的に、面取り加工はどのような目的で行われるのでしょうか。ここでは、面取り加工を行う目的とメリットをご紹介します。

・手触りの向上

加工後の素材の角は、バリがあったり刃物のように鋭くなったりしている場合があります。面取り加工で鋭利な部分を削り取れば、使用者が怪我をする危険を低減し、手触りの向上にもつながります。
また、面取り加工は用途によって加工方法や量が調整される点もポイントです。顔に近い部分で使う製品や子供向けの製品の場合は、大きくR面取りが必要となります。

・動作不良の防止

機械の部品の一部にバリや鋭利な部分が残っていると、機械内部でバリが取れてしまうなど、思わぬ不具合を起こすことがあります。
例えばコピー機の場合、紙がスライドする箇所の部品が面取りされていないと、紙の送りをスムーズに行えず、紙詰まりを起こす可能性が高まります。不具合の発生を防止するために、面取りは重要な工程といえるでしょう。

・寸法精度の修正

後工程で起こり得る問題の防止や部品の組み立て性改善を目的に、面取りを行うこともあります。
切削加工やプレス加工などでは、塑性変形によって工作物のエッジが盛り上がり、他の部品との嵌合性(かんごうせい)が低下したり、無理な組み立てで部品が破損したりする恐れもあります。
面取りによって寸法精度を修正することで、これらの問題を未然に防げる可能性が高まるでしょう。

面取り加工を行う方法

面取り加工は、いくつかの方法で行うことができます。金属材料では、以下のような方法で面取り加工が行われます。

・フライス加工

刃先が斜めになっているC面取りカッタや、刃先に凹んだ丸みがついているR面取りカッタなどを使用して、フライス盤で面取りを行います。フライス加工では、テーブルに固定した素材のエッジに沿って工具を移動させることで、直線上の面取りが可能です。

・旋削加工(旋盤加工)

旋盤によって円柱状の素材の端面や穴の周囲、溝の縁の面取りを行います。C面取りでは斜め45°の片刃バイト、R面取りなら総型のバイトや倣い加工で処理が可能です。

・ドリル加工

穴の周囲の面取りは、一般的には開き角90°の面取りカッタが多用されますが、R型のあるセンタードリルなどを用いたドリル加工によって行われることもあります。
この場合、穴径より大きな径のドリルを使用し、ドリルの先端角によって面取りのみを行います。

・手工具や手持ち電動工具による手作業

ヤスリや面取りツールなどの手工具、ハンドグラインダーや手持ちベルトサンダーなどの手持ち電動工具やエアツールを用いて面取りを行う方法です。
精度が出しにくいため、高精度である必要のない部分やバリ除去が目的の場合に行われます。

面取り部の計算方法

C面取り加工が指定されている場合、どのくらい工具を入れる必要があるか、エッジからの深さを計算すると効率的です。
必要な加工深さは、面取りするC面を底辺とした二等辺三角形の高さに該当する部分となります。
言い換えると、角の90°の頂点から、目的となるC面までの垂直距離です。
加工深さは「面取り深さ=面取り幅÷√2」という式から求められます。面取り幅が1mmの場合、面取り深さは約0.7だと覚えておけば、
面取り幅に0.7をかけることでおおよその深さを知ることが可能です。
また、C面取りを大きく行う必要がある場合は、加工物を斜め45°に傾けてから、垂直に角を落とす方法で面取りを行うことができます。

面取り部の測定方法

C面取り加工やR面取りの場合は、指示通りの寸法や形状に加工できているかどうかを確認することも重要です。
面取り部の幅を測定する方法はいくつかありますが、C面取りを行った場合は、C面ノギスや測定ゲージといった道具を活用すると良いでしょう。
対象面にノギスなどを押し当ててメモリを読むだけで、C面の測定が行えます。
R面取りの半径を測定したい場合は、ゲージを当てて曲線部の寸法を読み取るラジアスゲージや、
C面取りとR面取りの両方を測定可能なCRノギスなどを活用するのがおすすめです。

用途をよく考慮し、必要となる面取り加工を行おう

面取り加工は、安全性や後工程における効率の向上、寸法精度の修正など、重要な意味を多く持つ加工です。
部品の用途によって、どのような面取りが必要かを考慮して行うことが、面取りの効果を最大にするために重要となります。

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