アルミニウムとは? アルミ合金の種類ごとの特性や加工のポイントを解説

アルミニウムとは? アルミ合金の種類ごとの特性や加工のポイントを解説

軽い金属として知られているアルミニウム。しかし、軽いだけでなく強度や耐食性を向上させたものもあり、軽量化を狙いとした自動車部品として、鋳鉄の代わりに使用されるケースも増えています。身近な例では、アルミ缶や1円硬貨、サッシなどの材料として、日常生活の中でも活躍している金属材料です。 ここでは、アルミ合金の種類と特徴、加工時の注意点やポイントをご紹介します。

アルミニウムとは

アルミニウムは鉄などと比べて軽量で柔らかく、展延性がありながら機械的強度を持たせることもできる金属です。溶接や鋳造が可能で接合・造形しやすく、被削性も良好なため、比較的容易にさまざまな形状に加工できます。 耐食性や導電性、熱伝導性、電磁波の反射率が高く、磁性や毒性がない点もアルミニウムの大きな特徴です。電気部品や放熱装置など、機能性を持った部品としても使われ、医療や食品、電子工業の分野でも活躍しています。 リサイクルが可能で経済性も高いという点も、幅広く使われている理由のひとつです。このように、アルミニウムは非常に多くのメリットを持つ、使い勝手の良い金属ということができるでしょう。

アルミ合金を使う必要性

軽く良好な加工性など、優れた特性を持つアルミニウムですが、純度100%のアルミニウムが切削加工で使われることは多くありません。純度の高いアルミニウムは柔らかく、強度に劣るためです。
そのため、材料としてアルミニウムを活用する場合は、銅やマンガン、シリコン、マグネシウム、亜鉛といった物質を添加して、強度を増したり他の特性を持たせたりしたアルミニウム合金(アルミ合金)を使うのが一般的です。

アルミ合金の種類と特性

アルミ合金は、添加する物質によって、複数の種類に分けることが可能です。アルミ合金には4桁の「アルミ合金番号」があり、どの物質が添加されているか、どのような性質を持っているかが番号からわかるようになっています。アルミ合金の種類と、番手ごとの特性をご紹介します。

・1000系

純度99%以上のアルミニウムは1000系のアルミ合金番号で表され、純アルミニウムと呼ばれます。1000番台において、アルミ合金番号の下2桁はアルミニウムの純度を表していて、A1100なら99.0%以上、A1070は99.7%以上、A1050は99.5%以上のアルミニウムを含んでいることを意味しています。 純度が高いため導電性や熱伝導性が高く加工性にも優れますが、強度が低いのが欠点です。送配電材や放熱材といった部品に使われることが多く、構造材には適していません。

・2000系

2000系は銅(Cu)を含有するアルミ合金です。全般的に強度が高く切削性にも優れていますが、酸化しやすい銅を含むため耐食性は高くありません。通常はアルマイト処理を行い、耐食性を向上させて使います。 2000系の代表的な種類としては、ジュラルミンと呼ばれるA2017、超ジュラルミンと呼ばれるA2024などがあります。

・3000系

3000系はマンガン(Mn)を含有するアルミ合金で、純アルミニウムの持つ耐食性を維持したまま強度を向上させているのが特徴です。成形性がよくアルミ缶や建材などに使われていますが、切削加工材料として使われることはあまりありません。

・4000系

4000系は熱に強いシリコン(Si)を添加することで、耐熱性や耐摩耗性を向上させたアルミ合金です。熱膨張率も低いため、鍛造ピストンなどに使われています。3000系と同じく、切削加工の材料として使われることは多くありません。

・5000系

5000系はマグネシウム(Mg)を含有するアルミ合金です。耐食性と強度が向上し被削性も良いため、切削加工材料として使われています。種類が多く用途も幅広いのも5000系の特徴ですが、その中でもA5052やA5056などが代表的です。

・6000系

6000系はシリコンとマグネシウムを含有したアルミ合金で、5000系よりさらに強度・耐食性が高いのが特徴です。銅を添加して、強度を鉄鋼のSS材程度まで向上させたものもあります。

・7000系

7000系は亜鉛(Zn)とマグネシウムを含有するアルミ合金です。銅を添加したA7075は超々ジュラルミンと呼ばれ、アルミ合金で最も強度が高く、自動車の部品や航空機の部品、スポーツ用品などにも使われています。

アルミ合金に欠かせないアルマイト

アルミ合金における特徴のひとつに、「アルマイト」が挙げられます。アルマイトは陽極酸化処理とも呼ばれ、強酸性の電解液にアルミニウムを浸けながら通電して、人工的に薄い酸化被膜を形成する表面処理のことです。

アルミニウムは自然に酸化被膜が作られるものの、自然発生した被膜は薄く、場合によっては錆びたり傷ついたりする恐れがあります。被膜を厚くして、耐食性や耐摩耗性などを向上させるために、アルマイトは欠かせない処理のひとつといえます。
また、染料を吸着させてさまざまな色のアルマイトを作ることができるなど、美観性を高められる点もメリットです。

ただし、耐久性こそ高くなるものの、アルマイトは耐熱性や柔軟性が低いというデメリットがあります。アルマイト処理後に加工や加熱を行うと、皮膜が剥がれたり割れたりする恐れがある点に、注意が必要です。

アルミ合金を加工する際のポイント

アルミ合金は一般的に硬度が低く被削性は良好で、加工硬化も起こりにくいなど、切削加工に適しています。一方で、融点が低く延性も大きいため切削工具に溶着しやすく、バリも発生しやすいです。 仕上げの良い効率的な加工のためには、特性ごとの注意点に留意しながら工具を選定して、切削を行う必要があります。

・切れ刃のすくい角が大きい工具を選ぶ

アルミ合金のような軟質材の切削加工には、切削抵抗の少ないシャープな刃が適しています。切削温度の上昇や切れ刃への溶着を防止するため、すくい角の大きいものを選ぶと良いでしょう。 また、アルミ合金は切り屑が長く繋がりやすいので、仕上げ面への傷に注意する必要があります。切り屑の排出性に優れた工具を使うのがおすすめです。

・切削速度は高速で行う

アルミ合金は基本的に高速で切削します。熱伝導性が高いため切削熱は分散しやすいですが、過熱状態になると刃先への溶着が起こるため、兆候が見えたら切削速度を下げましょう。

・アルミに適したクーラントを使う

アルミ合金の切削加工は乾式加工が基本です。ただし、高速切削により発熱量も大きくなるため、刃先を冷却する目的でクーラントを使うこともあります。クーラントを使う場合、化学反応によって表面が変質する可能性があるので、アルミニウム切削に適したものを使いましょう。

・種類によっては難削材もある

アルミ合金の大半は被削性が良く切削加工に適していますが、一部には切削が難しいものもあります。 たとえば、純アルミニウム(1000系)は粘り気が強く、切削にあまり向きません。4000系や6000系の中でシリコン含有率が高いものは、結晶シリコンの影響で工具摩耗が激しいため、難削材と考える必要があります。荒加工では高速送りにするなど、適切な切削条件の設定が必要です。

ポイントを押さえて加工時のトラブルを防ごう

アルミ合金は軽量ながら強度があり、加工性にも優れた金属です。種類によりさまざまな特性を持つため、加工の際は特性に合わせた適切な工具選定と加工が必要になります。 ポイントを押さえた加工でトラブルを防ぎながら、安全で効率的な作業を行いましょう。