NCのGコードとは? 基礎知識や代表的なコードについて解説

NCのGコードとは? 基礎知識や代表的なコードについて解説

NC工作機械で使われるプログラムの指令に「Gコード」というものがあります。Gコードは、どのような仕組みで工作機械の動きを決めているのでしょうか。
この記事では、NC工作機械のプログラムにおいて欠かすことができないGコードについて解説します。

NC工作機械におけるGコードとは?

NC工作機械は、コンピューターによる数値制御で定められた通りに加工を進めていくのが特徴です。加工の順番や条件は、記号や数値によって指定しなければいけません。
加工の順番や条件を設定するために用いられるNCプログラムの一種が、Gコードです。準備機能とも呼ばれ、アルファベットのGと後ろに続く番号で表されます。それぞれが定まった動作パターンをコードにしていて、Gコードを組み合わせることでNC工作機械の動作を設定できます。

Gコードには一般的にG0~G99番のコードがありますが、すべてを頻繁に使用するわけではありません。よく使われるGコードを覚えておくだけでも、NCプログラムの設定は行えます。
ただし、GコードはNC工作機械のメーカーや機種によって仕様が異なる場合があるため、プログラムの際は注意が必要です。

Gコードの種類

Gコードは、指令の対象となる範囲の違いから「ワンショット」と「モーダル」の2種類に分けられます。ここでは、ワンショットとモーダルの特徴をご紹介します。

・ワンショットGコード

プログラミングでは、一連の指令がひとかたまりになったコードのまとまりを「ブロック」と呼びます。ワンショットGコードとは、指定したブロックに対して1回のみ指令を行うコードのことです。他のブロックには影響を及ぼしません。
G05やG09などが分類されている00グループが、ワンショットGコードに当たります。プログラミングの考え方ではブロックを基本として考えますが、ブロックを意識しなくても指令すると1回有効になるものと考えると、わかりやすいのではないでしょうか。

・モーダルGコード

指令されたブロックから次のブロックへと、接続して有効になるのがモーダルGコードです。00グループ以外のGコードがモーダルGコードに分類されます。ブロックを意識しなくても、次の指令が来るまで有効であり続けるコードと考えると、わかりやすいかもしれません。
ただし、次の命令に移行するのは、同じグループのコードで指令された場合に限られます。

GコードとMコードの違い

NC工作機械のプログラムコードには、Gコードのほかにも、補助機能と呼ばれる「Mコード」があります。Gコードと同様に、MコードもMの後ろに続く2桁の番号で表されます。
Gコードは主軸の動きや座標に関しての指令ですが、Mコードは主に機械を動作させる指令が含まれているのが特徴です。「切削油を吐出」や「チャックを開く」といった、加工の座標や速度などの条件に関係ないものがメインとなります。

Mコードは工作機械への指令を行うものなので、制御の共通言語として普及しているGコードとは異なり、機械メーカーによって設定されています。そのため、メーカーや機種によって番号ごとの指令が異なる点に注意が必要です。

代表的なGコードの一覧

GコードはG00~G99の番号に指令が割り振られているのが基本で、メーカーによってはそれ以上のコードもあります。これらすべてを覚える必要性は低く、使うことが多いコードを覚えておけば、効率的なプログラミングが可能です。ここでは、代表的なGコードをいくつかご紹介します。

・G00(位置決め)

位置決めのGコードです。加工は行わずに、指令した位置に主軸を最大速度で移動させます。加工地点から次の加工地点への移動、工具交換位置への移動などで使われます。

・G01(直線補間)

直線補間のGコードです。現在地点から指定した座標まで直線距離で移動します。速度も指定可能です。主に直線移動で加工するときに使われます。

・G02・G03(円弧補間)

円弧補間のGコードで、曲線的な円弧形状に主軸を移動させる指令です。
G02が時計回り、G03が反時計回りの指令となり、開始座標とRを指定して円弧の形状を決めます。曲線状の加工をする際に使われます。

・G04(ドウェル)

ドウェル(遅延)のGコードで、指定した時間または主軸回転数分、送りを停止する指令です。
ドリル加工の底面において、工具を回転させたまま移動を停止し、一定時間後に上昇することで、仕上げ面を損なうことなくきれいに加工できます。

・G08(加速)

加速のGコードで、指定した速度まで徐々に送り速度を上げる指令です。急加速による機械やワークへのショックを軽減させるために用いられます。

・G09(減速)

減速のGコードで、指定した座標に近づくと徐々に送り速度を減少させる指令です。急停止による機械やワークへのショックを軽減させるために用いられます。

よく使われるGコードを覚えておくと便利

Gコードは非常に種類が多く、理解が難しい印象があるものの、頻繁に使われるコードを覚えておくだけでもプログラムを作成しやすくなります。
実際の工作機械の動作を見ながらよく使うコードを覚えておけば、機械がどのような指令によって動いているのかを理解できます。Gコードを覚えることで、効率的な加工に役立てることができるでしょう。